【映画】ローズマリーの赤ちゃん(ネタバレ有)

以前から名前だけは知っており気になっていた作品。

 

前半の1時間は正直退屈ですが、この前半の描写が後半の怒涛のサスペンス展開に必要なので我慢して視聴しなければなりません。これがなかなか苦痛で、1回見るのを止めてしまいましたが、何とかモチベーションを上げて再開しました。。。

 

しかし後半の展開はそれまでの雰囲気とは打って変わり緊張感が増して画面に引き込まれました。オチはローズマリーの妄想説でも本当の悪魔説でもどちらに転んでも違和感のない展開なので、考察しながら見ることができ面白いです。

 

結局、ローズマリーの予想は妄想ではなく、旦那も含めて回りの人間がグルになって彼女の赤ちゃんを悪魔の子に祭り上げた、ということでいいですよね?

それとも本当に悪魔の子だったというオチではないですよね??

隣人の死や旦那のライバル俳優の怪我などは偶然だとすると、ちょっと都合良すぎるよなーという感じはしますが、まぁこういう普通なら偶然で済まされることに対して一歩間違えると意味付けがなされてとんでもない方向にいってしまう、ということですかね。

そう考えると、この話は人間社会の本質を表現していると感じます。

我々は占い、風水、願掛けなどありとあらゆる事象に対して目に見えない大きな力の影響を信じる傾向があります。その存在の有無は誰にも証明できないと思いますし、信じる信じないも個人の自由だとは思いますが・・・。

 

最後にローズマリーは悪魔の子の母親としての自分を受け入れていますが、その顔はとても幸せそうです。ついさっきまで自分の子供の異形の姿に慄き、この事態を引き起こした周りの人間を殺さんばかりの勢いだったのに、この順応ぶりに恐怖を感じます。

 

それにしてもローズマリー役のミア・ファローはかわいかった。

欧米的な美女ではなくてどちらかというとアジア的な線の細いかわいさ。

純真な彼女が徐々に変わっていく様子はおどろおどろしいホラー色は薄く、サスペンス感を際立たせていると思う。ですのでホラー好きには物足りないかも。

演じ方で作品のカラーが変わる作品ですね。

 

個人的に好きなシーンは、終盤でローズマリーが包丁で揺り籠の揺れを止めるシーン。揺り籠というある意味神聖なものを包丁という凶器で止めるという演出が、無垢だった彼女の狂気を表現しているかのようで、場面の緊張感を際立たせていると感じました。

 

全体的に地味な作品ではありますが日常に潜む偶然性の恐怖を味わえる良作です。